結婚指輪のこだわり

かつて給料の三ヶ月分、というフレーズとついてまわった結婚指輪について私は恋い焦がれているのだが、それを手に入れられない理由が二つある。まず、給料がない。これは私がまだ学生だからだ。アルバイトを三ヶ月しても、せいぜい普通に働く一月分くらいの給料しかないであろう。そして、最大の理由は、私が結婚指輪をあげるべき相手がいないことである。私が結婚指輪に憧れているのは、指輪自体、というよりはそれを与えるべき相手が生まれるという状況へのあこがれなのだと思う。結婚指輪は私たち夫婦では前年に購入したペアリングが代りになっている。なので、普通の結婚指輪よりはお値打ちだと思う。だが、必需品ではないし、何より金属アレルギーの人だと指輪はしにくい。何より私の夫は金属アレルギーだから、長時間できない。二人でどこかそろって顔を出さねばならない時に、シルバーチェーンにひっかけてぶら下げ、ネックレスのようにしていくのがパターンになっている。それを思うと、結婚指輪に求めるものはシンプルで、指を含めた手にさらっとなじむ、ついては体になじむものが求められるのかなと思う。

私達の結婚指輪は永遠を意味する、メビウスリング。結婚するにあたって、永遠の愛を誓ったからです。そして、イニシャルなどを内側に刻印する人は多いのですが、私達の結婚指輪には外側にイニシャルを刻んでもらいました。そして間にはサファイアが埋め込まれています。一生に一度の買い物。そして世界にひとつだけの結婚指輪にしたくてこだわった私達の作品です。もちろん、結婚して10年経った今でも肌身離さず身に着けています。昔の人は男女問わず、結婚指輪をしている人は少ないかもしれない。私の両親もはめていない。両親の結婚30周年のとき、母が恥ずかしそうに指輪を見せてくれた。見たこともない指輪だった。新しく買ったのかと聞くと、その答えに私は、なんだかほほえましく思った。父から貰った最初で最後の結婚指輪をずっと大切にしたいから、父の結婚指輪と母の結婚指輪を溶かし、一つの指輪にしたと言う。これからは、この一つになった結婚指輪がお母さんの宝物だと、笑顔をみせてくれた。